WPF/Eは間に合うか~Flash.NETの実現性~

ITJapan Co.,Ltd. CEO Tadanobu Kinoshita

2006/08/02 08:39 - www.itj.jp

以前一度書いた「Ajax vs Flash」の続きとも言える内容だ。

早いものであれからもう5ヶ月ほど経ち、両者ともそれなりに進化してきた。進化具合はほぼ互角と言えよう。最近Ajax(というかDHTML)オンリーでFlashのようなガンガンアニメーションをするサイトを見たし、FlashもFlashでFlexという企業向けのリッチアプリケーション制作ツールのVer.2を繰り出して来た。

大手サイトでは、視覚的に「見せる」場合、やはりまだFlashの採用が圧倒的だ。それはまぁそうだろう。大多数のパソコンをよく知らない一般人にとって、AjaxであろうとFlashであろうとどうでも良い事だ。だとすればAjaxに比べてまだ手軽に作れるFlashで制作してしまった方がコストも少なくてすむのだろう。

Ajaxはその中での「ちょっとした事」の便利化に使われていく事になるのだろう。「ここでわざわざ画面遷移をしなくても…」というシーンで。というのは、現時点だけの現象かもしれないが、使う側の立場に立ってみると画面遷移があった方がWebアプリケーションとして理解し易い場合が結構多いのだ。

さて、そんな感じで両者ともに今後も進化していくわけだが、そんな中に「第3の勢力」が投げ込まれようとしている。
今年の後半から来年にかけてリリースされるマイクロソフトの「WPF」、そのサブセット版とも言える「WPF/E」だ。

WPF/Eについて簡単に説明しておこう。
WPFとは「Windows Presentation Foundation」の略で、XAMLという言語を用いて次世代Windowsでの視覚的に優れたソフトウェアの開発を可能にするものだ。例えばこれまでFlashもAjaxもほぼ表現出来ていなかった最後の領域…「3D」の世界の簡単な開発が可能になる。

WPF/Eの「E」は「Everywhere」で、要は上記のWPFがUNIXやAppleでも動くように限定した機能を抽出したものだ。制御する言語としてはJavascriptが用いられる。
この 「WPF/E」が「Flash」や「Ajax」と同じ土俵で戦う事になる。

ここで問題となってくるのは、WPF/Eはどれぐらいの機能をWPFから持ち込んでいるのか?という部分がまず大きく一点あると思う。
というのも、 もし視覚的な部分で「WPF」とほぼ同等の機能だとしたら、かなり良い勝負になる事が予想されるからだ。

とりわけ先ほども挙げた「3D」の部分は、現時点ではFlashやAjaxにもあまり揃っていない機能なので、世の中がここにフォーカスを当ててしまうとFlashやAjaxは相当まずい立場に立たされてしまう可能性がある。

思えばマイクロソフトは今年に入ってから自社のウェブサイトで頻繁に「Flash」を使い出していた。それは、今ある最良のものを使ってみてそれを超えるものを作ろうとしていたのだろう。

開発者サイドから見ても、やはりFlashのネックは「ActionScript」と呼ばれるスクリプト言語だと思う。ここを独自体系にするのは少し時代遅れな気がしている。早い段階で有名な言語と互換性を取るような行動にマクロメディアが出ていれば、事態はもっと面白くなったような気がするのだが…。

(日本の)開発者が一番欲しいのは、Flashの裏でVBなりJavaなりの使い慣れた言語が動く環境だと思う。それをマイクロソフトは実現しようとしているのだ。

WPF/Eの正体は「Flash.NET」だ。そしてマイクロソフトはこの戦いに勝利する気がしてならない。