株式会社ITJapan ブログ CRMとSFA

CRMとSFA

ITJapan Co.,Ltd. CEO Tadanobu Kinoshita

2004/02/06 14:24 - www.itj.jp

CRMとSFA。IT業界に関係のない人には、はっきり言って「ナンノコッチャ?」という類の言葉だろう。これ以外にもこのIT業界にはご多分にもれず、もう 横文字3文字程度では既にかぶってしまっているぐらい色々な専門用語(ASPはどうにかならないだろうか)があるが、近年この2つの言葉はある種の呪文のように色々な所で囁かれている。

私はこれらを否定するつもりは全くない。それどころか、機会がある限り導入を検討すべきだと思っている。CRM(顧客管理)とSFA(営業支援)。言葉だけ聞けば、お客様の管理と、営業への支援がしっかりしていれば売上は上がるだろう、よしさっそく導入しようとなるが…ただ現実に、今の世の中でこの取り組みに成功している企業はほとんどいないはずだ。それはなぜだろうか?
まず始めに『それではCRMとSFAを日本全国すべての企業に導入したら、倒産する会社はなくなるのか?』という問題に、CRMを提供するベンダーの営業はどう答えるのだろう。もちろん返ってくる答えは「それは無理」だ。
では導入する事にどんなメリットがあるのだろうか?
CRMとSFAは、この手の今の日本を取り巻くIT事情を実に鮮やかに映し出している。

まず少し厳しい事を言うと、顧客管理と営業支援というこの2つの物事に取り組む際に、アウトソーシング(いわゆる外注)を考えている時点で企業の考え方に問題がある。経理業務のようなある種コモディティ(日用品)化しているものは、パッケージやら何やらでいくらでも他社の手を借りて効率化すれば良いだろう。ただCRMとSFAは会社の特色そのものを映し出すシステムであり、他社の手を借りるという時点で、大げさに言うとその会社の社員のみなさんは、「自分たちの会社の仕事を把握する」という部分の仕事をある種放棄しているという形になる。

なぜならばCRMとSFAは自分たちの会社の業務の一連の流れ全てをしっかりと把握していないと「効果のあるシステム構築」そのものが無理であり、自分たちでもしっかりと把握するものが困難なものを大抵の他社がきちんと理解できるはずもなく、「御社の将来を本当に真剣に考えております」という相手の営業の具体的なやり方が提示されないままの精神論の部分での言葉のみで、言うなればお仕着せのような形で導入されてしまう。
この類の話で、導入後のトラブルには枚挙にいとまがない。他社の営業からしたら「おいしい」お客さんだったという事になる。ほぼ例外なく、CRMやSFAを導入している会社の社員は、「ウチの社長、また営業に安易に騙されて毎月お金をむしり取られてる…大丈夫か?」と考えている。…いや、こういった事を考えられるぐらい関心があるだけでもまだ全然マシな社員だろう。多くは導入された事自体ほとんど気付かずに(あるいは気付かないように)日々を過ごしている。

アウトソーシング「されてしまう」理由はいくつかあるだろう。その中で多分一番大きな問題はずばり「社長」だ。社内開発しようにも、この手の人件費増は社長さん達には一番腰がひける類のものだ。開発に関わった人が途中で辞めてしまったりすれば大変な事にもなる。何より大手やその他のCRMソフトウェアは何やら良さそうな雰囲気があるし、説得力もある気がする。お金を払うんだからサポートも良いだろう。こうなれば自社の社員を信じるよりは他社のきちんとした営業を…となる。バーター契約とかもあるかもしれない。何せ安いものでも何でもいったんは導入してみない事には何がどうなるのかさっぱり分からないという社長さん達の言い分はわからないではない。
ただ、売り手も買い手もこの「CRM」と「SFA」という言葉に、ものすごく完璧なものを求め、期待しすぎているのは確かだ。企業には「これをやれば絶対に会社は潰れない」というような手段はほぼ存在しない。CRMもSFAもそういった意味であくまで「カンフル剤の一種」に過ぎないのだ。

コンピュータは苦手でエクセルもパワーポイントも満足に使いこなせない、もちろんCRMやSFAなんて言葉は聞くだけでダメだけども、売上は人一倍上げているという今の世の中で今一番恵まれていないポジションの営業さんを、そろそろ誰か助けてあげた方が良い。

CRMやSFAはもっと柔軟な形でそれぞれの企業の中に存在しなければならないはずだ。使い方を逐一説明しなければならないこれらのソフトに使用する価値を見いだすのは難しい。
先ほども述べた通り、何より企業が導入したこれらのCRMやSFAを全く使わないで売上を上げている人の存在を無視し続けるのは、もうそろそろやめにしよう。