HD DVDとブルーレイ

ITJapan Co.,Ltd. CEO Tadanobu Kinoshita

2004/10/03 11:03 - www.itj.jp

およそ1年以上ぶりの更新。さすがに会社を立ち上げた年というのは忙しかった! 今は経営者としての仕事の進め方を覚え、時間を有効に使えるようになってきたので、久々に「そういや何か書いてたな…」という感じでこのコラムの更新作業に至った。まずは最近気になった事を書こうと思う。

現在、次世代DVDとして規格争いのまっただ中にある「HD DVD」と「ブルーレイディスク」。2005年10月の時点でまだ決戦の始まる時期は明確には分からない。どんな雑誌や情報誌を読みあさっても、どちらの規格が勝つのか予想は難しいとしか書かれていない。
・手っ取り早く2つの規格を理解するにはこちら
http://allabout.co.jp/computer/av/closeup/CU20050405A/

私はこういった、「将来どちらが流行るか」といった類の予想を外した事がない。ほとんどの人は外したら格好悪いから断言しないだろう。よって私は断言しよう。次世代規格勝負は「HD DVD」の勝ちで幕を閉じるだろう。そしてこの勝負の負けにより、ソニーは解体の道を辿ることとなるだろう(念のため…別にソニーに対して悪い感情を持っているわけではない)。

最大の要因は私の直感なのだが、その他の要因を述べよう。ひとつは著作権保護技術に対するものだ。拙稿「マイクロソフト」で述べたように、世の中のほとんどの「善良な市民」にとって、著作権保護技術というものはメーカー側が考えだす自己中心的な機能の集合体だ。良い例では音楽配信だ。実体験に基づいた話をすると、国内のとあるサービスで買った楽曲をCD-Rにコピーしようとしても、これが出来ないのだ。これではCDプレイヤーで聴けない。そんなバカな話があるだろうか?iPodの成功は、著作権を保護しすぎなかった事にある。確かに最低限の保護は必要だ。だが時代が進むとともにあまりに物事を深く考えすぎる偉い方々が、もはや客の使い勝手などどうでも良いとばかりに売る側の権利だけを主張しているのが現状だ。ソニーはCCCDの失敗から何も学ばなかったのはどうしてだろうか?

ブルーレイは私の見る限り、「新しいメディア」であるため著作権を保護しすぎている。HD DVDは買った映画をハードディスクにコピー出来る。こんな当たり前の事がブルーレイでは出来ない。いつの時代でもコピーして売ろうと思えばできた。だがそんな勢力が大きくならなかった事は歴史が証明している。隅っこの方でこそこそ悪い事をする子供など、大人は放っておけば良いのだ。

もうひとつ話題として挙げるとすれば、ブルーレイの最大のポイントとも言える「PS3」だ(ディズニーやその他「ソフト」を持つ会社の参入が有利なのかどうかはアテにならない…ソフトの資産は別にどのメディアにでも落とし込めば済むからだ)。ゲームのメディアにブルーレイを採用しているこのゲーム機は、早ければ2006年初頭にも登場しそうだ。ソニー陣営はもしかしたらPSやPS2の時にCDやDVDを採用した事で世の中のフォーマットを制した気になっているのかもしれないが、今回は状況が全然違う。特にPS2はメディアにDVDを採用し、DVDプレイヤーとしても使える便利なものであったが、これは世の中の大部分の人が「DVD」という既にあった当時の次世代メディアを気軽に使えるようになるというメリットがあるからPS2の購入動機となったのである。

PS3はまだ規格争いまっただ中のメディアであるブルーレイを採用した。だが現状、世の中にブルーレイは全く需要がない。言うなればソニーは自らがパイオニアとなって新しい規格を流行らせなければならない立場となっているのだ。PS3というゲーム機自体は次世代機の中でも任天堂やマイクロソフトと互角以上に戦う力はあるかもしれない。だが、それがイコール世の中にブルーレイが流行る要因とはならないはずだ。よってブルーレイは「PS3というゲーム機に使われているメディア」という位置づけが妥当だと思われるのだが如何だろうか。

加えて、ゲーム市場全体の縮小傾向も、PS3でブルーレイを採用したからといてそのメディアが爆発的に普及するわけではないという原因に一役買っている。(話はそれるが次回のコラムで述べる予定だが、それにしても最近面白いソフトがなくなった…PSPやNINTENDO DSはどれもみな最高に魅力的なゲーム機(ハード)だが、遊べるソフトがないのでこの私がまだ購入していない。新しいゲーム機は発売日と同時に購入していた昔からすると考えられない事態だ…。)

話を戻そう。そんなわけで、HD DVD対ブルーレイの次世代規格争いの勝者はHD DVDだという結論だ。だがどちらにせよ今回の消費者を全く無視したこの規格争いには本当の意味での勝者や敗者は存在しないだろう。
個人的には本当に普及するのは「HVD(ホログラムディスク)」に代表される次のフォーマットだろうと思っている。今回の規格争いが一段落したら、次は必ず統一フォーマットでという話になると思う。その時は容量が1T(1000G)といわれる次のメディアのどれかが、その後10年に渡る永いメディア戦争の勝者の座につくものと思われる。だがメディア戦争に勝利しても、その時はすでにネットワークの普及がいきつく所までいき、「Web経由での配信」が今よりもっとスタンダードに…メディア媒体2、配信8ぐらいになっているので勝利の意味は今現在とは全く違った意味になってくるのかもしれない。機会があればこの続きはまた書く。USBフラッシュメモリやHDDについても言及し、もっとトータルで見て行こう。

いずれにしても、消費者が正しい判断を下すのは、もうすぐの事だ。