麻布十番祭り

ITJapan Co.,Ltd. CEO Tadanobu Kinoshita

2006/09/02 10:03 - www.itj.jp

一週間ほど前の話になるが、今住んでいる所が麻布十番の駅近くという事もあって、半ば強制的に「麻布十番祭り」に参加させてもらった。

お祭りが始まる前に、色んな方々から「麻布十番に人が集まりすぎて家に帰れなくなりますよ」と言われていたが、内心(フッ…そんなバカな…)とやり過ごしてきた。そんな家に帰れないぐらいの人の集まるお祭りなんて…。

そして当日。みなさまの予言は的中した。すいません。ええ、これは帰れません。日頃とあまりにも違いすぎてビックリ。でもまぁ帰れないならそれはそれでしょうがない。色々と屋台もまわってみた。元々各国の大使館が集まる地域なので、関西や他の地域ではあまり見かけないドイツ、フライス、タイ、韓国、ロシア…等のさまざまな屋台が出ていて興味深かった。

確か3日間行われていたが、もう1つビックリした事がある。

それは、毎日完璧に清掃するので、祭りの期間中でも翌朝は「え?昨日ここでお祭りあったの?」と言いたくなるぐらい元の状態に戻っている事だ。

私は関西出身だが、あまりそういう風に1日1日完璧に掃除する祭りとかに出会った事がないので(三宮とか屋台のゴミが結構いつまでもちらかってたりするもんなぁー)、こちらの人の美意識に驚愕した。

とりわけ最終日が終わってから翌朝出勤する時には、もう全くの「日常」に戻っていた。これはこれで、お祭りの余韻も何もあったもんじゃないなぁー…とは思ったのも事実だが…。

つまり今回の話で何が言いたいかと言うと。

テンポ…の話だ。生きていく上で、最近それはかなり重要な位置を占めてきているように思う。

かなり強引なテーマへの持って行き方で恐縮なのだが…麻布十番祭りの話も、結局はその地域に住む人々のテンポで作り上げられていっているという話だ。

最近よく考える事に、『小説』と『ブログ』、あと『サウンドノベル』の違いがある。

この3つは、文章を読む娯楽という部分では共通なのだが、決定的に違うのは「テンポ」だ。

私の書く文章を見てもらえば分かると思うのだが、昨今流行りのブログ、中でもよく読まれている人気ブログとの決定的な違いは、「文章と文章の間(行間)の広さ」の違いだ。

読む人がテンポよく読める「行間」の平均値は、人気ブログのような広い行間を空けた文章なのだろう。そしてそれにもう一つ考察を加えるとすると、それは「漫画」の持つテンポだという事に気付く。漫画を一度よく見てほしい。セリフとセリフの間が、結構空いてないだろうか。小説と漫画の違いは、もちろん絵があるかないかが一番大きな違いなのだが、もう一つそれと同じくらい大きな違いをあげるとすれば、それは読む人が「読む部分」の間隔の違いなのだ。

そう、一般に「人気ブログ」と言われているものは、「テンポ」に焦点をあてて考察すると、「絵のない漫画」とほとんど同じなのだ。

ゆえに、たまに絵が壊滅的にヘタな漫画でも大変面白いものがあるというのは、いわゆる「人気ブログ」を読んでいるのとほとんど同じ状態になるからなのだ。

読む人間や、プレーする人間が心地よく楽しめるテンポを考えるのは、そういった創作活動にあたっては、実は創作物そのもののかなりの比重を占めている。古き「ドラゴンクエスト」で、歩く速度が遅いはずなのに気にならないのはなぜだろう?「ファイナルファンタジー」ではいくらダッシュしても遅くてイライラするのはなぜだろう?これらは全てその創作「世界」におけるテンポが関係している。

サウンドノベルは小説とブログのどちらに近いかというと、それは中間だと思う。小説よりもテンポは遅いが、ブログよりは速い。最近ゲーム性に関しては「ひぐらしのく頃に」という「 ほぼ読むだけ」のゲームをプレイし、大変よく出来ていたのでゲーム性がどれだけ重要かはここでは触れない でおく。

最初に小説があり、それは読む側の事はほとんど何も考えていないものだった。作家はただ面白い話を考えれば良かった。時代が進んで、何事も「お客様側」の視点でものを見る事が当たり前のようになってきた時代の中で、テンポをゆっくりにし、読む人が読みやすいように小説を改良していった。

インターネットにもまだまだこうったい分野がある。弊社では今後ともそれを追求していきたいと思う。

※9/12追記…今回のネタは分かりにくいかもしれないが、9/12付の日経新聞に同じような話が出ていた。ラーメン屋で餃子を出す時間を早めたら(3分にした)注文が増えたという話だ。ラーメン屋に入った人間が注文して出てくるまでの時間は3分が最適なのだろう。だがレジ前で並ぶのは3分はイライラするそうだ。「テンポ」…この見えざる流れを理解すれば、ヒットする商品の出る確率はきっと高い。