一流と出会う事の大切さ

ITJapan Co.,Ltd. CEO Tadanobu Kinoshita

2006/04/30 15:27 - www.itj.jp

東京に進出して以来、忙しい日々が続いている。大企業、中小企業から果ては個人事業主まで毎日色んな人と出会っている。「会社勤めがイヤだから・出来ないから起業している」人もわりと多い。私はサラリーマン勤めは悪くないと思っている。それは、企業の中に存在する一流の人間を間近で見れる機会があるからだ。

世界レベルで見れば、会社を興すのは-起業するのは-早ければ早いほど成功し、大きくなっている確率が高いように思う。若さに任せて圧倒的な体力と馬力で突っ込むのは、ある意味では起業の本質と言えなくもないからだ。
私が見てきた起業家たちは、サラリーマンや勤め人の経験のほぼ皆無な人も結構多い。
その事にはいくつかのマイナスがある ように思う。まず世間一般の会社の 内部の仕組みが分からない 。社内の綺麗なお姉さん達と呑みに行けない等々。何よりも大きな損失だと思うのは 『会社に存在する”一流の人間”を知る事が出来ない』という点だ。
なぜならば一流の人との出会いは人生の財産だからだ。

どういう事かというと、普通どんな会社でも、100人いれば何人かは本当に仕事の出来る、いわゆる「本物」「一流」がいる。

勤め人を経験していない人は、そういう人を間近で見たり、あるいは一緒に仕事をした経験がない。必然的に自分を一番上に置くしかないから、ある種 「独善的」になる。ひとりよがりというやつだ。
20代の人間は知恵や体力は素晴らしいが、社会人としての経験がまだまだ少ない。ここで手本や目標となる一流に出会えないと、人生が30代、40代と進めば進ほど、きっと伸び悩むのではないかと思う。人は具体的な目標を持たないと伸びない生き物だから(尤も理屈抜きに実力があればそれはまた別の話だ)。

さておき、私が前職で見た一流は、本物の別格だった。
50代の役員クラス (以下『F』とする)なので正確にはサラリーマンではないが、圧倒的な人間力を持つ天才営業だった。入社した頃はそばにいるだけで震えた。怖かった。私は側にいる時は常に直立不動だった。

だが同時に、圧倒的に優しかった(しかしそれに気付いていた社員は少ない )。例えば、挨拶。
私は10代の頃、挨拶をそんなに重要視していない という独善的な部分があった。 そんな事をして何になるの?的な若さ故の傲慢さだ。だがFは、どんな状況でも必ず挨拶を返してくれる数少ない人生の先輩だった。

他社や自社を見渡しても、だいたい部長クラス以上になってくると、自分が疲れていたらいくら下っぱの者が「お疲れさまです」と挨拶しても無視をするのは珍しくない。「今オマエどころじゃないんや」といった感じで疲れた顔をして通り過ぎられる。 あるいは露骨に怒った顔をして「 オマエごときが話しかけんな!」といった表情をされる事もあるだろう。

だがその方…Fは、はっきりとどんな状況でも100%挨拶は必ず返してくださった。もちろん向こうが先に挨拶をする事は100%ない。それはそうだ。男の実力社会なのだから、上が先に挨拶するのは変だ。だが、こちらが挨拶をすれば必ず返ってくるという事が、私のサラリーマン生活、特に入社したての頃はどれほどの勇気付けになった だろうか。

Fは営業の勉強会を隔週で開催されていたのだが、私は必ず参加した。ゆくゆく独立を考えていたから、一流から何かを学ぼうと必死に話を聞いてメモを取った。今でもそれはとても役にたっている。日本の企業の内部がどういう構造になっていて、どの人に話を聞けば良いか、どのように話を持っていけば担当の方は話を聞いてくれるのか。 電話のかけ方、世間話。一流は違うと今でも思う。

しかも一度カラオケまでご一緒させて頂いた。深夜の4時頃まで。気を遣って頂き感激したのを覚えている。今これを書いていているだけで恐縮してしまっている。なんともったいない経験か…。

それとFのおかげで収穫だなと思えたのは、 日本有数の大企業 「SHARP」のトップ、町田社長と間近で お会いさせて頂けるという機会が持てた事だ。これまた 町田社長ははっきり言ってスゴかった。オーラでは圧倒的だった。近づけないような気さえした。オーラのある人間は、本当に光りや輝きが目に見える形で出ているという事を知った。26歳の頃だったかな。背、デカ!って感じでもあった。

願わくば、そういった一流に少しでも近づきたい。それも私が起業するに至った一つの理由である。やっぱり凄い人と 出会いたい。人生が豊かになる気がするし。

凄い人と会うためには、自分も凄くならないといけない。自分が大した事がないのにすごい人脈など出来ない。ただ単に会った事のある人で終わってしまう。振り返れば、自分がレベルアップすればするほど廻りもそれに合わせて自然とレベルアップしていた。そういう人生を最後まで戦い抜けるように、日々修練を積むのみだ。